講演・建築展

2006/05/22

2006吉阪隆正展-内藤廣講演

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京都工芸繊維大学で行われている「吉阪隆正展2006」へ。弟子の内藤廣氏の講演も企画されていたので、それにも合せて。

14時スタートでしたが、ちょっと遅れて到着した頃には会場は超満員。会場には入れずで、会場を移すテレビ越しの聴聞となってしまいました。吉阪氏とおなじ、所属(国籍だったり場所だったり立場だったり)を越えることを厭わないひとたち(内藤氏は「境界線の人」と表現)の話から。次に吉阪氏本人の人物像にせまり、作品のスライドへ。多国籍な感覚で普遍的な力強い建築をつくり、モノのカタチで人と人をつなげようとし(有形学)、それを弟子達に伝える教育者であった吉阪隆正の生きかた。去年にお話を聞く機会のあった象設計集団・樋口氏の考え方にしても、今回の内藤廣氏にしても、吉阪研究室出身者の方々は強く吉阪隆正の思想の影響を受けているようです。それだけ吉阪隆正が偉大な思想家であったのだろうと思います。

「40年前、吉阪隆正が考えたことを、いまの若い人が勉強したらよい」

それまでの価値観が崩壊し、進むべき道がわかりにくい戦後の転換期を生きた吉阪氏の思想に今顧みることを説きます。既価値観の崩壊という点で似通っている現代を20代30代が考え変えていかないと、これから先面白くない世の中になってしまうと、講演をしめられました。「今の建築界の潮流はほとんど茶番だ」といい放つ内藤氏。自分も表層的ではなく普遍的な力ある建築を求めたいと思います。

肝心の「2006吉阪隆正展」は吉阪氏のディテールへのこだわりを感じさせてくれる秀逸な展です。今月いっぱい京都工芸繊維大学で展示がされているのでぜひ興味ある方は。巡回展で次なる地は九州ということです。

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2006/04/21

2006吉阪隆正展

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2006吉阪隆正展.が京都工繊大で催されています。登山家でありながら、建築の世界でも活躍した氏です。恥ずかしながら、お名前くらいで生前の活躍をほとんど知らなかったのですが、山と建築いうキーワードに引っかかり近頃興味を持つようになりました。明日22日も吉岡氏についての鈴木恂氏の講演があるようで、聴きに行きたかったのですが、明日はお仕事のためおあずけ。次回の5月22日の内藤廣氏の講演にはこそ。

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2006/01/22

メディアとしてのミュージアム

神楽岡工作公司スライド会『メディアとしてのミュージアム』

神楽岡工作公司のスライド会へ参加しました。昨日の「けんちくの手帖」といい今週末は山にも行かずおべんきょう(?)の休日です。

講師の図師氏は恐竜マニア。歳はわたしと近いくらいと思うのですが、自分の研究(本業は文学部の研究者です)をしながらも恐竜という、そのへんにいる人にはちょいと一般的でないテーマについての驚くべき深い造詣。いやいや、ひどくマニアックでした。自分のなかでどんなことでもいいからそれだけのマニアになれている、なれそうな分野があるだろうかと振り返させられました。「山と建築」で何か語ることができたら面白いのだけど。まだまだだな。。。

講演は豊富なスライドを駆使してビジュアル的におもしろおかしく建築空間のことにも触れたりと二時間あまりの時間でしたが、お酒も入ってチャチャも入ってアッという間に過ぎてしまいました。恐竜の骨の迫力ある写真から旧体制のミュージアムのありかた、つい最近のミュージアムの展示など。国柄・土地柄によってミュージアム施設へ力の入れ方が違うこと。それは大きくはお金の問題であること。

以前のミュージアムは、「こちらはAです、あちらはBです」なんて分類的展示の方法であったけど、今は時系列を通じてモノゴトの流れを伝える展示方法へ変わってきている。大昔に繁栄し、そして滅びた『大きな』恐竜というものに価値を見出していた時代から、「鳥類」の祖先としての今につながる、進化の歴史の一端をになう恐竜という存在に価値を見出してきているというお話し。

マニアックな内容から建築的なこと、そしてミュージアム展示から見える社会的思想の変遷など奥行のあるヴォリューム満点の内容でした。スライド会がおこなわれた神楽岡さんの空間も隠れ家的、秘密結社的な心地よい場でした。機会あらばまた行ってみたいと思います。

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2006/01/21

沢田マンション

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けんちくの手帖

大阪の中崎町にあるコモンカフェで季期で行われているイベント。各回有名無名を問わずあるテーマをもったゲストがマニアックなお話を。初参加は去年の四月。今回は三回目の参加です。

今回のスピーカーは「沢田マンション」(以下、沢マン)という高知県にある建物を修士論文で調査した加賀谷氏。沢マンは家主で建主の沢田夫妻がコツコツとセルフビルド(自主建設)で作り上げたマンションで、今もなお増殖中で鉄骨鉄筋コンクリート造で6階建という規模なのだから驚く。僕らもセルフビルドで内装工事や簡単な木工事などをオーナーとともにすることはありますが、それは小さな規模。重いセメントや鉄という工業材料をつかって集合住宅をセルフビルドっていうのが想像しがたい。ほとんど二人でやったということだし。

セルフビルドは己のためだったり近しい人のためにすることが比較的多いけど、この沢田夫妻は「沢マン」に住むであろう仮想の住人のために自主建設。人の生活・生命・哲学に影響する住居を思想をもってセルフビルドしてしまう沢田夫妻。ご時世的にもこんな建築はもう生まれないのではと思う。集合住宅を社会に供給する建主(デベロッパーとか)が沢田夫妻のような知恵と思想をもったオーナーであったら、世の中にはもっと魅力的な集合住宅が生まれて面白くなりそうだ。

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2005/12/11

第7回 村野藤吾建築設計図展

京都工芸繊維大学内にある美術館で開催されています。
今のCADによる製図の時代にはなかなかみることのない
手書き図面が力強いです。図面自体が作品。
学生さんたちがつくった模型も精緻に丁寧に作られていて、
一見の価値アリです。無料ですし、オススメです。

第7回 村野藤吾建築設計図展.



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2005/11/13

空間に恋して

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象設計集団の樋口氏の講演にお邪魔してきました。
神楽岡工作公司が主催の催し。

講演の企画された場所は京都の居酒屋さん。
お酒を飲みながらのスライド会です。

会はお酒も入って和やかな雰囲気で始まります。

まずは宇宙の話しから。
小学生の教科書を使って、この写真はうつくしい。
これはかっこいい、ここは面白い。と、説明(感想?!)。

今は科学の発達(望遠鏡の進化)で、
どんどん宇宙のいろんなことが分かってきている。
僕らが知っている宇宙の姿はもうズイブン昔のこと。

何が星で何が空か分からないくらい、
無限に星が見えてしまうほど感度が良い、美しい宇宙の写真。

それから人類の進化の話し。
人間が土をどんどん掘るようになって、
これも昔とは違ったことが分かってきている。

稲作は弥生時代、狩猟主体の生活スタイルは縄文時代。
そんな風に教わった記憶がありますが、
この時代に稲作が行われていた可能性が出てきたそう。

人類最古の先祖も僕らが教わったのはアウストラロピテクスだったけど、
それよりももっと古い先祖がいた説もでてきている。

何百万年という途方も無い時間の尺度で、
そんな記録が簡単に塗りかえられている。

宇宙から始まって地球・人類の歴史の話し。
気が狂いそうなほどスケールが巨大なのですが、とても身近なこと。

そして、土の話しに入ります。
アフリカやイランなどのスライドを通して、
そこの生活や建築、文化をお話になりました。
人の営みから自然に生まれる生活空間。生活スタイル。

日本の今の住宅で溢れるキーワード。
なんとかLDKだ。子供部屋だ。寝室だ。
システムキッチンだ。オートロックだ。ピッキングだ。
などと、設計しているのがいかにちっぽけなことか。

大きな流れの中でモノゴトを捕らえる視点を持たないと、
と感じさせられた時間でした。

「僕は今の日本の住宅の全てが間違っていると思う」
という樋口氏のコトバが印象的でした。

「象設計集団」

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2005/03/29

水の都・大阪

水の都大阪再生シンポジウム
へいってきました。

かつてあった「水の都・大阪」を取り戻そうというイベント。

大阪の街にはたくさん運河の歴史の名残を見つけることはできるけど、それは高速道路下の護岸された汚い水辺。
「水の都」を失ってしまった大阪には失望していました。

だけど、今日のフォーラムですこし考え方が変わりました。

パネラーたちの「水の都」を再生しようとしている実際の活動のことや実現していないまでもそこを目指す想いなどを聞くと、大阪の水辺もまだまだ捨てたものじゃない気がしてきました。昔を懐古していても仕方ないし、何も生まれません。今はそんな状況でも、他の都市に比べて運河が多く水の近い、歴史のある大阪は、よい街に変化していくポテンシャルがあるんだと思えました。反省。

「今までは川を排水施設としてしか考えてこなかった。人の生活と結びついた川という視点が全くなかった。」とクニの役人さんの最後の言葉が印象的でした。

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