街・建築めぐり

2018/03/01

みんなの森ぎふメディアコスモス

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二月の連休、めいほうスキー場へ行こうと、郡上八幡に向かう途中、行きたかった岐阜メディアコスモスへ寄り道。伊東豊雄さん設計の図書館。昔はそうでもなかったのですが、最近、わりと好きな建築家です。

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こどものスペースも充実。フェルトの波打った床。転がっても気持ち良い。

「みんなの森ぎふメディアコスモス」と銘打っている建物。「みんなの」というのが、近頃の伊東さんらしいネーミング。また、その名の通り、市民の皆さん、老若男女たくさんの人で賑わっていました。

格子の大屋根(天井)の下に、自習室、貸スペース、大中小の机に椅子に、年代ごと、利用に応じた場所が散りばめられ自分の居場所がそこにある。公共空間はこうでないと。長く時間を過ごせそうな、気持ち良い図書館。こんな公共スペースがたくさん町にあるのが豊かな町だと思います。

期待していた通り、とっても良い建築でした。

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年代ごとにゾーン分けされた読書、自習スペース。

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窓際の席も人気。

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事務所スペースもオープンで。家具が少なく開放的。

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2017/02/09

2017年始、大分~熊本へ。

年始は別府港へ渡り、10年ぶりの九州へ。
前回来たときはバイクを積んでのノンビリ気ままなひとり旅。が、今回は家族4人と一緒に。10年で沢山のことが変わった。

南港を昨夜出港、別府港へは早朝に到着します。船旅は時間と距離を感じられる好きな移動方法。正月は雪山目指して、車を積み込み北海道までよく行きました。

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大分では坂茂氏設計の「大分県立美術館」へ。空間構成はシンプルですが、期待感のある魅力的な動線計画がいい。柱部材断面を小さく存在感を軽くし、ウレタン塗で影が映り光が反射する床と縁甲板張りの天井が拡がる。ギュッと絞って抜ける感じの、2階部分の空間ボリューム感が印象に残りました。

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つづいて、長湯温泉へ移動。象設計集団設計の「長湯温泉療養文化館 御前湯」
階段室が象らしい造形。手摺の手に柔らかいフォルム、トップライトの光が青い壁色が独特な雰囲気を醸し出しています。その辺にはないのだけど、ヒューマンな感じが心地よい。

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続いて同じ長湯温泉にある藤森照信さんのラムネ温泉館。フジモリワールド。独特。愉しげです。グッと天井高を抑え、急こう配の屋根のボリュームを魅せる。屋根の存在、役割のあり方を考えさせられます。

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熊本で一泊。目的は熊本市現代美術館の「ジブリの建造物展」とっても良かったですが、実は今年末に阿倍野ハルカス美術館でもやるらしく、こっちのほうがとても近いやん。と損したような、もう見た感で得したような。。

熊本城も園内には入れませんでしたが、震災の傷跡も少し垣間見れました。もう大阪でが情報がほとんど入ってきませんが、まだまだ手つかずの崩落した石垣がそのままで、地震の威力を感じざるを得ませんでした。百聞は一見にしかず、このような巨大なエネルギーに対して人命を守ること、建築に携わる者としても、身を引き締めさせられる景色です。

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その後は、熊本の奥座敷・杖立音泉へ移動。ここも10年前訪れたことのある場所。川の両岸に迷路のような温泉街が張りつく路地を散策。せり出した建物が路地に覆いかぶさったり、路地が建物のトンネル状をすり抜けたり、境界が曖昧である町の面白さ、線引きがないことで人の生活が絡んで空間的魅力が増す。

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絵馬に安産祈願しました。

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旅路の最後は大分・唐臼の音がする小鹿田焼の里へ。皿山集落の中を小川が流れ、その川辺に土を砕く唐臼(カラウス)のギューーイ、ドン。と愛らしい音がそこら中で鳴っています。小さな集落ですが、素晴らしい景色でした。

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10年振りの九州。久しぶりにまとまってケンチク探訪、マチ探訪できました。振り回した家族のみんなありがとう。湯煙立つ町、内陸は独特の山容、スケールの大きな風景。北海道とはまた違った雄大さ。良いなーとひしひし思いました。大阪から一晩で早朝着できる立地で意外と気分的には近い。また来よう。

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2014/05/16

出羽島いってきました。

徳島の離島「出羽島(てばじま)」へ行ってきました。島内に自動車は一台。手押し車がモノを運ぶ主な動力。なんて省エネ。日常とは全く違う時間が流れていました。

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2009/04/21

コッパーハウスと座・高円寺@東京

週末は東京入り。藤森照信氏の住宅見学会へのお誘いがあったので、「日立の家」の住まい手さんとの打合せと、その工務店探しも兼ねて行ってきました。

見学会に声をかけていただいたのは木童さん。木童さんは住宅に使う構造材から仕上げ材まで、全国各地の良質な木材を取り扱う、木の家づくりのコーディネイト屋さんです。今回、藤森さん設計の住宅に木材を供給したそうで、その木童さん主催の見学会に呼んでいただきました。

住宅は藤森氏ワールド満載で、見学しながらクスッと笑みがこぼれてしまうような、お家でした。空へ飛び出す茶室にまず目がいきます。なんだか、惹きつけられてしまうカタチなのですね。茶室には焼かれて真っ黒の木っ端群が漆喰壁に埋め込まれていたりと遊びゴコロが随所に。

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藤森氏の住宅を堪能したあと、いっしょに見学会に参加した北大の同期の及川さんの案内のもと、直近の5月オープンという伊藤豊雄氏設計の「座・高円寺」も同じ沿線ということ見てきました。

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まん丸の小窓がランダムに並ぶ壁面からの光が木漏れ日のようで、いつだか行った松本市民芸術館にも似た印象。大小円形の照明光が床に光を落とし、壁面と床面の円い光がオーバーラップします。最近の伊藤氏設計の軽く白い印象でなく、ホノ暗くちょいと妖艶な雰囲気をもつ空間でした。

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2008/05/31

但馬ドーム

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関西近郊のスキー場で有名な神鍋高原にあるドーム。高原道を気持ちよく走っていると、巨大な建築物が目に入る。どこのドームもそうだけど、ドーム建築は巨大でその場の強烈なモニュモントになる。

入ってみようと、表側に廻ってみると、そのドームらしき面影がなくなってしまった。この但馬ドームは表側(北)と裏側(南)と表情が全く異なる。普段イメージする白いテフロンテント膜に覆われた外装は裏側からの景色。僕が最初に見た方向もこちら。今みる表側は三角屋根を連続させたデザインでドーム建築とは似つかわない。山小屋をイメージしているそう。コチラからアプローチしていたたらドームとは思えなかっただろう。

”見学自由”と書いていたので(←こういうのがあると、気を使わなくて、とってもありがたい!)、中に入ってみると、表側と裏側で構造が別になっているのがよくわかる。開閉可能なドーム屋根は鉄骨部材が放射線状に流れ、大空間を構成している。連続三角屋根の下方の空間は、人の動線部分だったり、バックヤード、観客席などの機能が集約。縦横無尽に走る立体トラス構造で鉄骨フレームが重なりあい、それらの空間がつくられる。構造体が間近に迫り、迫力がある。ただ全体の印象としては鉄骨のわりに、意外に部材が多くて大きく、少々重々しい感も。開閉式で屋根(壁)自体が動くため強さが必要なのか。構造が裏表で分かれるため、全体で合理的に計画しにくいせいか。そういえば、去年見た熊本の小国ドームは木と鉄のコラボレーションで構造が軽やかで美しかったなぁ、と思いだした。

但馬ドーム

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2008/05/28

植村直己冒険館

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探検家・植村直己氏の功績を顕彰する施設。クレバスをイメージしたという高さ6mほどのコンクリートの壁で覆われた1.6m巾の一筋の通。その道を挟んで左右両側に展示空間がふたつ、という単純な構成。クレバスに落ちたことはないですが、多少は想像力が働く身としては、建築空間に上手く転化しているように感じました。本物へ似せるのではなくて、あくまで建築空間としてクレバスを表現。(表層を似せる方法はあまり好きではありません。。世の中の建材には、そんなもの多い!)上部から降りそそぐ柔らかな自然光と威圧的に立ち上がるコンクリート打ち放しの壁。それ以外のモノは極力排除されます。時期や時間にもよるのかも知れないけど、光源が見られず自然光だけで明かりとり。次第に両岸が高くなるアプローチ路から建物へ入ると、最初に目に入るのは、上方の簡単には辿り着けそうにない空とそこから注ぐ柔らかな光。ずっと視界の先には出口らしき扉。希望でありながら、困難さを暗示しているのか。

植村直己氏の展示も面白く拝見。海外遠征で氏が使用した装備が大量に展示される。それらに刻まれる数々のキズや汚れから厳しい自然と格闘するヒトの行動が想像される。うーん。自然界は厳しい。し、美しい。ほかにも植村直己が知人に送った手紙やメディアへの登場する姿などを通して、氏の気さくな人間性を感じることができる。もともとエリート登山家ではなく、努力して力をつけた明治大学時代。身ひとつで海外に飛びだし、山へ登り、川を下り、極寒の極地をひとり探検した。インタビューで、「高所恐怖症だから、高いところは怖い。足がすくむ。」と笑って話す植村直己。「探検をして目的地に辿りついても、そこに何かがあるわけではない、そこに行って自分が何か変わるわけでもない。」というようなことを語る。気張ることもなく、とっても自然に生きる、偉大な冒険家と触れあうことができます。

アラスカ、マッキンリー、行ってみたいなぁ。。

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植村直己冒険館

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2008/05/25

弘道小学校

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面白そうな小学校が出石にあることは頭には残っていたけど、プランどころか場所などの情報がないまま、ウロウロ街散策していると気になる小学校を発見。お目当ての弘道小学校でした。出石の町を眼下に見られる立地。町の端の小高い山あいで環境がとてもいいトコロ。休日だし多分中には入れないと思っていたけど、塀も外門も無くふらふらっと入っていけました。

予備知識も無いままでしたが、非常にいい空間でした。校舎が分節され小学校空間だけで小さなひとつの集落のよう。低学年棟、高学年棟、特別教室棟、職員室棟など、木造で小さなヴォリュームが散在する。その棟間に運動場があり、遊戯場があり。各棟を結ぶ渡り廊下があったり。さまざまな要素が見え隠れする。さらに、斜面地の高低差を活かした計画が、予期せぬ場面展開のある面白い空間を提供してくれる。駐車場からアプローチしたと思ったら、低学年棟の屋根レベルに出てきたり。そこからは出石の町が遠望できる。地上から特別教室棟に入ってトントンと階段を降りて渡り廊下に進むと、そこは空中廊下。抜けると遊技場にたどりついてしまう。そこはまた地上。長い階段を降りていく運動場への動線があったり。などなど。平面的にも断面的にも変化があってワクワクする。そこに居て楽しい。

不審者と思われそうだなと思いつつも、斜面を登ったり、建物の裏側に廻ってみたり、建具のディテールを観察したりと、なかなか足が遠のかず長々と探検。建築屋のサガか。

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2008/05/21

ひぼこホール

最初にまず向かったのは、兵庫県出石町。宮脇檀がまちづくりに関わったということで以前から行きたかった町。大阪からはそんなに遠くないのですが、なかなか機会が無く。。ようやく行けました。愛車スティードで4時間ほどで到着すると、さすがに観光地。GWなので人が沢山。が、こちらの目的地は他のみなさんとはちょっと違う。大渋滞の車を横目にバイクでスイスイと、有名そば屋の人だかりにも目を向けず、最初に向かったのは「ひぼこホール」。

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設計は重村力+いるか設計集団。外観からしてなんだか面白げな風貌。曲線平面のボリュームを組み合わせた有機的なイメージのするかわいらしい外観。内部にはいっても外のコミカルさが内部空間にもつたわり、そんなに要素の多い施設でもないのですが、緩やかに曲線を描く壁面や動線、象徴的な柱など、楽しげな空間になっていました。町の高校生の吹奏楽部さんが練習をしていたので、見られる場所も制限されてしまい、時間も掛けて見られなかったのが残念。

出石文化会館「ひぼこホール」

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2008GWツーリング@山陰方面

GW後半はバイクでツーリングしてきました。遠出は去年のGW九州遠征以来。今年は以前から行きたかった山陰をメインにルートを取ってみました。写真を交えてその報告を。(続かなかったらゴメンナサイ。。)

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ひぼこホール@出石町(設計:重村力+いるか設計集団)

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弘道小学校@出石町(設計:重村力+いるか設計集団)

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出石中学校@出石町(設計:宮脇檀)

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植村直己冒険館@豊岡(設計:栗生明)

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但馬ドーム@豊岡(設計:仙田満+環境デザイン研究所)

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植田正治写真美術館@伯耆町(設計:高松伸)

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東光園@米子(設計:菊竹清訓)

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2008/05/14

BANANA MOON

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GW移動途中に立ち寄った安曇野の小さな美術館「BANANA MOON」。

週刊新潮の表紙絵を描いておられるイラストレーター成瀬政博氏の美術館。氏のことは知りませんでしたが、週刊新潮の表紙とあらば、とくに意識をしていなくてもよく目にするせいか、どこかで見たことのあるタッチ。安曇野を拠点にしておられるからか、山や空、月に太陽などの自然界の背景描写が多い。自然の明るさより、少し寂しげな雰囲気を醸し出す。その空間に帽子をかぶった人がひとり。現実のような、現実でないようなイラスト。絵のテーマに沿って添えられる氏のエッセイも面白い。風刺的な装いありつつ、ユーモアもありつつ、クスッとさせられることも。絵と文章とも楽しめました。

建物はこじんまりとして、落ち着く空間。周囲が木木に囲まれる立地ではあるが、内部は開口部が絞られている。美術館なので当然そういうことになるのだろうけど。それまで外側で自然そのものに体を曝していた時間が長かったせいか、内側で包まれる安堵感が心地よい。氏のイラストを観つつ心を内へと向けられる。

さらにイラストを観たあとは、併設のカフェで美味しいコーヒーが飲めるのだから、ありがたい。ちなみに飲み物代は入場料の500円に含まれている。お昼時の気持ちよい陽光が差す中、あまりに心地よくて、ユルイ時間を過ごさせていただきました。

BANANA MOON

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